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東京高等裁判所 昭和51年(ネ)1506号 判決 1979年5月28日

控訴人 平野正男

右訴訟代理人弁護士 平野智嘉義

同 武末昌秀

同 横山由紘

被控訴人 毛木敏雄

右訴訟代理人弁護士 大場勝男

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

一  当事者双方の申立

控訴人訴訟代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し、別紙目録二記載の建物を収去して同目録一記載の土地を明渡せ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決及び仮執行の宣言を求め、被控訴人訴訟代理人は、主文と同旨の判決を求めた。

二  当事者双方の主張

(控訴人主張の請求原因)

1  控訴人は、昭和四四年七月九日訴外村田祐造から別紙目録一記載の土地(以下、本件土地という。)を買受け、同人と被控訴人間の本件土地に関する賃貸借契約における賃貸人の地位を承継したが、同年九月一日控訴人と被控訴人との間で右契約を合意解除し、同日新に被控訴人に対し、本件土地を普通建物所有の目的で存続期間昭和六四年九月一日賃料一か月金二五〇〇円毎月二八日払、第三者に対し借地権を譲渡転貸しない約束で賃貸し、被控訴人は本件土地に別紙目録二記載の建物(以下、本件建物という。)を所有して本件土地を占有している。

2  被控訴人は、昭和四四年一二月二七日訴外佐藤つるに対し、本件土地の一部(約六・七六坪)を転貸した。

3  さらに被控訴人は、かねてより控訴人から被控訴人方の飼犬が夜昼なく吠えることについて善処方を求められていたことをかえって恨みに思い、昭和四八年九月三〇日午後一〇時過ぎ頃控訴人方玄関に押しかけ、同所において控訴人を引きずり倒し、さらに同所付近において所携の樫の棒(長さ一・五メートル・直径三センチメートル)をもって控訴人の背部足部を殴打し、蹴りつけるなどの暴行を加え、控訴人に対し全治約一〇日間を要する頭部外傷、背部挫傷、左下腿挫傷の傷害を負わせた。

4  被控訴人は右の如く借地の無断転貸という契約の内容に反する行為を行い、また、貸主である控訴人の身体に危害を加えるという控訴人の人格に対する最大の侮辱行為をなし、控訴人と被控訴人間の契約の基本たる相互の信頼関係を一挙に破壊した。そこで、控訴人は被控訴人に対し、被控訴人が右佐藤に本件土地の一部を転貸したこと及び前記傷害事件より双方の信頼関係が破壊されたことを理由にして、昭和四八年一二月六日頃到達の書面をもって本件土地賃貸借契約を解除する意思表示をした。

5  よって、控訴人は被控訴人に対し、本件建物を収去して本件土地を明渡すことを求める。

(被控訴人の答弁)

1  控訴人主張の請求原因1のうち、本件土地の従前の賃貸借が昭和四四年九月一日合意解除され、同日控訴人と被控訴人間で新たな賃貸借契約が結ばれたこと、及び賃料が毎月二八日払となったことは否認するが、その余の事実は認める。控訴人と被控訴人との間に昭和四四年九月一日付土地賃貸借契約証書(甲第七号証)があるのは、被控訴人と控訴人とが従前の賃貸借関係を確認するとともに賃料を坪当り月額一〇円値上げして五〇円とし、賃貸期間も残存期間を承継して昭和六四年九月一日までとしたものであり、賃貸借自体は、右契約書作成の前後で変ったわけではなく、同一性を有する。

2  同2項の事実中、転貸年月日が昭和四四年一二月二七日であることは否認するが、その他は認める。転貸の日は昭和三一年一一月頃である。控訴人主張の右日付で被控訴人と右佐藤との間に土地賃貸借契約証書(甲第八号証)が作成されているが、それは、後記のような事情によるもので、従前の転貸借を確認するため作成したにすぎない。

3  同3項の事実は否認する。

控訴人は、昭和四六年頃より本件土地から被控訴人を追い出そうとして被控訴人の犬がうるさいなどと口実を構え嫌がらせを繰り返してきたが、同年九月二〇日頃内容証明郵便で本件土地の明渡しを求めるに至り、被控訴人に対するいやがらせの行為がますます激しくなったところ、昭和四八年九月三〇日午後一〇時一五分過ぎ頃、控訴人から酒に酔った声で二度電話がかかり、被控訴人の息子の俊明が控訴人宅に行ったので、被控訴人が案じて直ぐその後を追い控訴人宅の玄関に行ったところ、控訴人が酒に酔いふらつきながら外に出てきたので、危いと思い、俊明が控訴人を左右から支えるように外に出たところ、控訴人がなにかにつまずき俊明とともに地上に倒れ、その際、控訴人は同所付近に立て掛けてあった鉄パイプ製の脚立に背中と頭を当てて傷を負ったものであって、被控訴人が控訴人を樫の棒で殴打するなどの暴行を加えたことはない。

4  同4項の事実中、控訴人がその主張の日にその主張の理由で被控訴人に対し契約解除の意思表示をしたことは認めるが、その余の主張は争う。

(被控訴人の抗弁)

1  被控訴人は本件土地を控訴人の前所有者村田祐造から賃借していたのであるが、被控訴人は昭和一九年頃本件土地上の物置を改築して住宅とし、被控訴人の義兄訴外黒岩某に賃貸したが、昭和二一年頃同建物を同人に売渡した。この際、被控訴人は同人に対して同建物の敷地である本件土地の一部(約六・七六坪、以下、転貸地という。)を転貸したのである。その後右黒岩は昭和二二年九月頃訴外山本好男に、同人は昭和二六年四月頃、訴外木戸公男に、同人は昭和二八年二月頃訴外毛利キヨ子に、同人はさらに昭和三一年一一月頃訴外佐藤つるに順次同建物を売渡した。そして、右建物の売買が行われる毎に本件転貸地に関する転借人たる地位も承継された。被控訴人は、昭和二一年頃本件土地の一部を転貸したときは勿論、その後も本件土地の一部の転借人の地位が承継される度毎に、当時の本件土地の所有者であった訴外村田祐造から口頭により承諾をえていたのである。

2  仮に、右転貸につき右村田の明示の承諾の事実が認められないとしても、同人は右転貸につき黙示の承諾をしていた。すなわち、同人は、戦前から昭和四四年七月本件土地を控訴人に売るまで本件土地の南隣りに住み、前記転貸地上の建物の移転及びこれに伴う転借人の地位の承継とその占有使用の状況を知っていながら被控訴人及び転借人に対し、なんら異議を述べたことがない。ことに佐藤つるは昭和三一年一一月右村田に対し、右建物を買受けてから同人に挨拶に行き、その旨を述べ、その後同建物に住んでいるのに、右村田はなんら異議を述べないばかりか、同人は昭和三五年頃被控訴人に対し、本件土地を買ってもらえないかと交渉にきて断わられると、今度は右佐藤に対して右売買を申し入れているほどであった。

3  また、控訴人自身も、被控訴人の右佐藤に対する本件転貸地の転貸については承諾している。すなわち、昭和四四年一一月頃被控訴人が控訴人に対し、本件転貸地については、今後控訴人と右佐藤との直接賃貸借にしてもらいたい旨申し入れたところ、控訴人は右土地は被控訴人に賃貸してある土地であるから、被控訴人と右佐藤の間で直接契約してよい旨述べ、右転貸について口頭で承諾しているものである。右のような事情があったので、被控訴人は右佐藤との間に同年一二月二七日付で本件土地の賃料を同額の坪当り月額五〇円と改訂したうえ、従前から存する転貸借関係を確認する趣旨で土地賃貸借契約証書(甲第八号証)を作成したものである。

4  仮りに、控訴人主張の転貸借及び傷害の事実が認められるとしても、右の点に関し、被控訴人には次のとおり控訴人に対する背信的行為にあたらない特段の事情があるから、本件賃貸借の解除は許されない。すなわち、

(一) 被控訴人の右佐藤に対する転貸は、さきに述べたとおり、昭和三一年一一月以降のことであり、その後控訴人が本件土地を取得するまで、右転貸借関係は何らの変化もなく、前地主村田も異議を述べずに推移してきたのである。

(二) 控訴人は本件土地を取得するに当って、本件土地上の建物を登記簿等によって確認しているはずであり、したがって、本件土地上に右佐藤が所有する建物のあることを知っていたはずである。

(三) また、被控訴人は右佐藤から本件転貸地につき坪当り月額五〇円の賃料(被控訴人が控訴人に支払う賃料と同額)を受領しているにすぎないから被控訴人が中間で利得をえていることがなく、控訴人が損失を被ることもない。

(四) しかるに、控訴人は昭和四四年七月に本件土地を取得すると、はや同年一二月二八日には被控訴人からの同年一二月分の賃料の受領を拒否し、被控訴人に対して本件土地の明渡を求める態度を示し、さらに昭和四六年九月には被控訴人に対し契約解除の通告をしてきたものである。

(五) また、前記傷害事件についても、被控訴人が控訴人主張のような所為に及んだことはないが、二度とかような事態が生じないようにするため、被控訴人は、犬小屋を控訴人の家からできるだけ離し、犬に適宜口輪をするなどの措置を講じて努力しているのである。

(右抗弁に対する控訴人の認否及び主張)

1  右抗弁1項のうち、被控訴人が昭和二一年頃本件転貸地上の建物を被控訴人の義兄黒岩某に売り渡すと同時に、右土地を転貸し、その後も右建物の売買が行われる毎に右土地の転借人の地位が承継されたこと、昭和三一年一一月頃佐藤つるが右建物を買い受けたことは認めるが、その余の事実は否認する。

2  同2及び3項の各事実は否認する。

3  同4項の事実は争う。

4  仮に、前所有者村田が被控訴人の右佐藤に対する本件土地の一部転貸につき明示もしくは黙示の承諾を与えていたとしても、右村田と被控訴人との間の本件土地の賃貸借契約は、右契約上の地位を承継した控訴人と被控訴人との間において昭和四四年九月一日合意解除されたから、右承諾の効果は、前記合意解除により消滅したものである。そして、同日被控訴人が控訴人との間に結んだ賃貸借契約では、明らかに借地権の譲渡転貸を禁じているのに、被控訴人は同年一二月二七日に右佐藤に対し前記転貸をしたものである。

三  証拠の関係《省略》

理由

一  控訴人が昭和四四年七月一九日訴外村田祐造から本件土地を買受け、同人と被控訴人との間の本件土地に関する賃貸借契約における賃貸人の地位を承継したことは当事者間に争いがない。

控訴人は右賃貸借契約は昭和四四年九月一日被控訴人との間で合意解除し、同日新たに控訴人主張の賃貸借契約を結んだと主張するが、《証拠省略》を総合すれば、本件土地の前所有者村田祐造と被控訴人との間の本件土地賃貸借契約は大正一〇年に右村田の父三五郎と被控訴人の祖父佐十郎との間で締結され、順次相続されてきたものであるが、右賃貸借契約は文書に作成されていなかったところ、被控訴人が前記のとおり本件土地の賃貸人になってから、控訴人に対し、右賃貸借を文書化し、併せて、従前の地代を月額坪当り四〇円から五〇円に値上し、毎月二八日払とし期間を二〇年とする旨の賃貸条件一部改訂の要請があったので被控訴人はこれを了承して、昭和四四年九月一日に甲第七号証の土地賃貸借契約証書が取交わされるに至ったものであること、右契約証書作成に当って、控訴人から従前の賃貸借契約を合意解除し、新たに賃貸借契約を結ぶ旨の提案はなく、被控訴人は控訴人が作成持参してきた甲第七号証の契約証書の賃借人欄に署名押印をしたにすぎないものであることが認められ(る)。《証拠判断省略》

右によれば、村田祐造と被控訴人との間で結ばれた本件土地賃貸借は、控訴人が本件土地の所有権を取得したことにより承継され、その後、その賃貸条件が一部改訂されたにすぎないものと認めるのが相当であるから、控訴人の右主張は採用することができない。

二  次に、被控訴人が訴外佐藤つるに対し本件土地の一部約六・七六坪(本件転貸地)を転貸したことは、時期の点を除いて当事者間に争いがない。

控訴人は右転貸の日は昭和四四年一二月二七日であると主張するのに対し、被控訴人は昭和三一年一一月頃であると主張するので検討するのに、《証拠省略》を総合すれば、被控訴人が右佐藤に対し本件転貸地を転貸したのは、昭和三一年一一月頃であること、被控訴人と右佐藤との間に甲第八号証の土地賃貸借契約証書が昭和四四年一二月二七日付で作成されているが、これは、同年一一月一〇日頃右佐藤の夫が死亡したことを契機として控訴人が右転貸の事実を知るに及び、右佐藤及び被控訴人に対し立退きを要求して紛争が生じていたところ、控訴人の兄が右転貸借契約を文書で明確にするよう申入れたことに基づいて作成されたものであることが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。右によれば、右転貸は、右甲第八号証の記載にかかわらず、被控訴人主張のとおり、昭和三一年一一月頃になされたと認めるのが相当である。

三  そこで、被控訴人の右転貸につき、当時の賃貸人であった前記村田の承諾があったかどうかについて調べてみる。

《証拠省略》を総合すると、本件土地の地主であり賃貸人であった村田祐造は近所付き合いを好まず、そのため賃借人からの地代の徴収その他の交渉は専ら妹貞子にまかせていたこと、右祐造及び貞子は、地代の収受のほかは賃貸条件に無関心であり、やかましいことは一切言わなかったこと、昭和三一年一一月に被控訴人が本件転貸地を佐藤つるに転貸するに当っても、被控訴人の母静が右貞子方に赴いてその旨を告げただけで事が済み、右村田祐造からその後なんらの異議もでなかったこと、右転貸借関係は控訴人が昭和四四年一一月に無断転貸であるとして明渡しを要求するに至るまで一〇数年間にわたり格別の問題もなく平穏に続けられてきたものであることが認められ(る。)《証拠判断省略》

右認定の事実によれば、右転貸は、昭和三一年一一月右村田祐造に対し、その妹貞子を通じて転貸承諾の申入れがあり、その後右村田から何らの異議もなかったことにより、黙示の承諾がなされたと認めるのが相当である。そうだとすれば、無断転貸を理由とする控訴人の賃貸借契約解除の主張は失当というべきである。

四  次に、控訴人主張の暴行、傷害による賃貸人、賃借人間の信頼関係破壊を理由とする契約解除の可否について判断する。

まず、控訴人主張の暴行、傷害事件の原因とその経過、態様等について調べてみるに、《証拠省略》を総合すれば、次の事実が認められる。

1  本件土地賃貸借は大正一〇年から長きにわたって平穏に継続されてきたものであるところ、昭和四四年七月控訴人が本件土地を購入して賃貸人となり、本件土地の隣地に住むようになると、被控訴人方で飼っているポインター犬の鳴声がうるさいといっては抗議をするようになり、犬好きである被控訴人は、当初犬が鳴くのは仕方がないといって感情的対立がおきていたところ、同年一一月二〇日頃前記佐藤つるの夫が死亡したことを契機として、控訴人が無断転貸を理由に、被控訴人及び右佐藤に対し本件土地及び本件転貸地からの立退きを要求するに至ったこと、また、同年一二月二九日には被控訴人の妻勝代が持参した本件土地の地代の受領を拒否され、以後、被控訴人において地代を供託していること、その後控訴人は昭和四六年九月二〇日付で被控訴人に対し前記佐藤つるへの無断転貸を理由に本件土地賃貸借契約を解除する旨の内容証明郵便を出し、これに対し、被控訴人は無断転貸ではない旨の返書をするなどやりとりがあったこと、その後も、本件土地の明渡及び犬の鳴声を巡ぐって両者の反目が続いたが、昭和四八年夏頃には被控訴人が控訴人の要請で犬小屋を控訴人との境から反対側に作りかえたり、口輪をつけたりするなどの措置もとっていたこと、しかし、控訴人はそれでも犬の鳴声がうるさいといって被控訴人に対し抗議を繰り返えし、控訴人との間に依然口論が絶えなかったこと、かくするうち、近隣の者から控訴人宅に犬のこと位であまりやかましくいうなとの電話があったので、控訴人は右電話は被控訴人の差し金によるものと思って、同年九月三〇日午後一〇時頃飲酒のうえ、被控訴人方に電話をかけて、「なんで脅迫めいた電話をするんだ。」と怒鳴ったのに対し、被控訴人の妻勝代が、「私のところではかけない。もう遅いから明日にしてもらいたい。」といって電話を切ったところ、控訴人は執拗に二度、三度と電話をかけたこと、そこで、被控訴人の息子俊明が、「文句をいってくる。」といって、控訴人方に赴き、被控訴人もすぐに後から控訴人宅に至り、右両名共同して控訴人に対し、「表に出ろ。」といって控訴人を外に引きずり出し、控訴人方前路上において控訴人の襟首をつかみ路上に押し倒す等の暴行を加え(もっとも被控訴人らが樫の棒で控訴人を殴打したとの点は認められない。)、よって、控訴人に対し全治約一〇日間を要する頭部外傷、背部挫傷、左下腿挫傷の傷害を負わせたこと、右傷害事件により被控訴人は金二万円の罰金刑に処せられたことが認められ(る。)《証拠判断省略》

右認定の事実によれば、右暴行、傷害事件は、控訴人と被控訴人との間の本件賃貸借及び犬の鳴声を巡ぐる双方の感情的対立が原因となり、控訴人の執拗な電話による抗議が直接の誘因となって、これに立腹した被控訴人が起した事件であって、控訴人がうけた傷害の程度も被控訴人の犯した罪も決して軽いとはいえない。しかし、不動産賃貸借ことに借地関係においては、解除によって被るであろう賃借人の経済的損失の大きいことに鑑み、賃貸借の信頼関係を破壊する背信行為に当るかどうかの認定に当っては、とくに慎重に判断すべきものと解するのが相当であるところ、被控訴人としても、控訴人が本件土地の賃貸人となるや、間もなく永年続けた平穏な生活を控訴人の度重なる抗議や明渡し要求によって害されてきたこと、本件暴行、傷害事件の発端には、前記のとおり、控訴人にも相当の落度があったこと、右事件後控訴人は被控訴人に対し全く宥恕の気持を示さないが、被控訴人は信頼関係維持回復の意向を有していること等諸般の事情を考慮すると、右暴行、傷害事件をもってしては、いまだ本件土地賃貸借契約の解除をなしうるほどに、被控訴人の側に信頼関係を破壊する背信行為があったと認めることはできない。したがって、控訴人が信頼関係が破壊されたことを事由とする本件土地賃貸借解除の主張は採用できない。

五  よって、控訴人の本訴請求は、当事者双方のその余の主張について判断するまでもなく理由がなく、同請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 渡辺忠之 裁判官 糟谷忠男 裁判官浅生重機は職務代行を解かれたため署名押印することができない。裁判長裁判官 渡辺忠之)

<以下省略>

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